会社設立時に社長一人であっても社会保険の加入は必要なの?
特別加入・社会保険
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会社を設立したばかりの社長の方の中には、事業のことで頭がいっぱいになり、なかなか社会保険まで考えられないという方も多いです。特に、会社を設立したばかりで従業員を雇用していない場合、「社会保険の加入義務はない」と勘違いされている方もいるかもしれません。
会社設立時は一人社長でも社会保険の加入義務があります!
法律により厚生年金保険、健康保険の加入が義務づけられている事業所とは次の事業所です。
・事業主のみの場合を含む常時従業員を使用する法人事業所
・常時5人以上の従業員がいる事業所、工場、商店等の個人事業所
一人社長であっても、法人化(会社設立)となった場合は国籍や性別等に関係なく、一定以上の報酬(※)があれば、すべて健康保険、厚生年金保険の被保険者となります(原則70歳以上の人は健康保険のみの加入)。つまり、従業員を雇用していなくとも、法人化(会社設立)と同時に加入義務が発生するのです。
※代表取締役のような法人の代表者は、役員報酬が支払われているなら社会保険の加入が必須です。取締役のような常勤の役員も代表取締役と同様です。ただし、どちらも報酬がない場合は適用にはなりません。
会社設立時に社会保険に加入しないとどうなる?
加入する義務があるにもかかわらず、放置し、年金事務所からの加入要請や警告文書を無視し続けると最終的には多額の保険料を請求され会社経営に大打撃を受けることになりかねません。社会保険に未加入の場合、どのようなことが起きるでしょうか?
① 年金事務所から加入要請が届く
年金事務所などでは、国税庁の情報によって給与の支払実態から加入状況がわかります。そのため、社会保険未加入の事業所への指導が強化されています。社会保険未適用の事業所には、年金事務所による電話、書面などによる加入指導がされます。この時点で、加入要件に該当する事業所は速やかに届出をしましょう。
② 警告文書が届く
上記の加入要請に応じない未適用事業所には、さらに警告文書や訪問指導により社会保険への加入が求められます。
③ 立入検査実施後に強制加入
最終的には、年金事務所職員による立ち入り検査が実施され、被保険者の資格の有無を確認し、職員の認定によって強制的に社会保険に加入することとなります。立入検査では、健康保険、厚生年金保険、労働保険、所得税等の領収書や納付書などの提示を求められたり、賃金台帳や労働者名簿などの確認を求められたりします。
この際、社長は立入検査に対し「受忍義務(立ち入りを拒否したり、妨げたりしてはならないという義務)」があるため、職員の質問には必ず対応しなければなりません。また、強制加入の場合は、過去に遡って加入する(保険料を納める)ことになりますが、最大で2年間遡ることもあります。そうなる前に、加入要請が通知された段階で加入手続きをしましょう。この段階なら過去の分まで請求されることはありません。
④ 未加入の場合、各種助成金の申請もできない
会社が要件に当てはまれば受給できる雇用関係の助成金は数多くあります。雇用調整助成金やキャリアアップ助成金などがあり、それぞれの支給要件にあてはまれば、従業員雇用やキャリアアップのための費用が助成されます。そういった助成金は基本的に返済不要です。
しかし、受給要件は雇用保険適用事業所であることやその他社会保険等への加入が必須となっているケースもあります。未加入の場合は、そういった国の助成金が受給できません。
会社設立後は必ず社会保険に加入しましょう!
会社として社会保険の加入は義務であり、保険料の負担は大きいかもしれません。しかし、社会保険に加入することで社会的な信用を得られ、従業員の雇用が維持しやすくなるというメリットもあります。
また、社会保険に加入していることで、雇用調整助成金など各種助成金を受けることも可能となります。会社を運営していく以上、社会の一員として、自分を含め従業員や扶養家族の生活の安定を意識するべきです。そういった意味でも必ず、社会保険への加入を行いましょう。
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