作業員名簿とは?記載する内容は?

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作業員名簿とは、安全衛生管理および労災が発生したときの緊急連絡や対応、また入退場が多い建設現場においては「どんな人がいつ現場に入っているのか」を把握・管理するための書類です。建設業法により作成が義務化されているため、建設業の現場に入る際、元請会社から提出を求められます。

作業員名簿は、作業員を雇用する全ての会社が会社ごとに作成し、一次会社がそれらをまとめて元請会社へ提出します。また作成を委任する意思確認を書面等でとった上で、自社より下位の会社の作業員名簿を代理で作成するケースもあります。

では、作業員名簿へはどのようなことを記載すればいいのでしょうか?本記事では、作業員名簿で記載する事項について詳細をご説明いたします。

欄外部分の書き方

(1)事業所の名称・・・現場ID 工事を実施する作業場所、もしくは工事の名称を記入します。事業者が建設キャリアアップシステムに登録している場合には、現場IDを記入します。
例)〇〇新築工事、〇〇作業所、〇〇跡地工事

(2)所長名・・・「所長名」=元請会社の現場代理人を指します。一次の会社ではなく、元請の会社の現場管理人を記入する必要があるため注意が必要です。 

(3)作成日・・・作業員名簿を作成した日付を記入します。                                   

(4)一次会社名・・・事業者ID 作業員名簿を提出する一次請けの会社名を記入します。また会社名の代わりに一次の会社の現場代理人の名前を記入することもできます。
一次請けが建設キャリアアップシステムに登録している場合には、事業者IDを記入します。

(5)(二次)会社名・・・事業者ID 作業員名簿を提出する会社名を記入します。こちらも会社名の代わりに自社の現場代理人の名前を記入することもできます。
作業員名簿を提出する会社が建設キャリアアップシステムに登録している場合には、事業者IDを記入します。

(6)提出日・・・提出日の目処が立っている場合は、提出日を記入します。まだ提出日が確定していない場合は、提出直前に記入すると良いです。

欄内部分の書き方

(1)番号 ・・・通し番号です。上から順番に1、2、3と記入しましょう。


(2)ふりがな・氏名・技能者ID ・・・作業員の名前を記入します。このとき、氏名の表記が間違っていると現場入場時に身分証明書との照合ができず、最悪の場合、現場に入場できないなんてことも起こり得ます。免許証や資格証明書の写しを確認しながら正確な表記で記入しましょう。
作業員が建設キャリアアップシステムに登録している場合には、技能者IDも記入します。
また作業員名簿の提出後、同一現場で新たに入場する作業員がいる場合は、新しく作業員名簿を作成するか一度作成したものに追加で記入していきましょう。


(3)職種 ・・・職種は数が多く表現も会社によって微妙に異なったりしますが、「型枠大工」「オペレーター」「電気工事工」「とび工」などその作業員が該当工事においてどんな役割を担うのかが分かれば大丈夫です。


(4)※(特記事項) ・・・略語になっていますが、以下で該当するものを記入しましょう。
現…現場代理人
作…作業主任者
女…女性作業員
未…18歳未満の作業員
主…主任技術者
職…職長
安…安全衛生責任者
能…能力向上教育
再…危険有害業務・再発防止教育
習…外国人技能実習生
就…外国人建設就労者
1特…1号特定技能外国人


(5)雇入年月日 ・・・該当する作業員を会社が雇用開始した年月日を記入します。


(6)経験年数 ・・・該当工種における経験年数を記入します。自社の勤続年数ではなく、その工種の経験年数なので間違いがないように注意しましょう。

(7)生年月日 ・・・和暦・西暦についてはどちらでも問題ありませんが、会社で揃えて記載した方が読みやすくて親切です。


(8)年齢 ・・・18歳以上であれば年齢を記入するだけで問題ありませんが、18歳未満の場合は、元請に年齢証明書(住民票記載事項証明書)などを見せる必要があります。


(9)現住所、電話番号 ・・・作業員の現住所と電話番号を記入します。引越し等によって住所が変わっていることがあるため、よく確認のうえ記入しましょう。


(10)家族連絡先 ・・・作業員に労災等が発生した場合の緊急連絡先となります。両親もしくは配偶者などの近親者の連絡先を書くことが多いです。


(11) 最近の健康診断日 ・・・労働安全衛生法により、雇入れ時および年に1回の健康診断の実施が義務付けられています。この年月日は最新のものを記入する必要があるので、古いままになっていないか確認し、随時更新しましょう。


(12)血圧・・・血液型 血圧は最低・最高の両方で記入します。個人情報となるので取扱には注意してください。

(13)特殊健康診断日と種類・・・有害業務従事者は半年に1回特殊健康診断を受けることが義務付けられています。該当しない場合は空欄でOKです。
なお特殊健康診断の種類には下記のようなものがあります。
じん肺、有機溶剤、鉛、電離放射線、特定化学物質、高気圧業務、四アルキル鉛、石綿


(14)退職金共済制度 ・・・建設業退職金共済制度・中小企業退職金共済制度に加入していれば、加入している方に◯を記入します。未加入の場合には空欄でOKです。


(15) 雇入・職長・特別教育 ・・・全ての作業員に対する雇入時教育は義務とされています。「雇入時教育」は全作業員分記入しましょう。その後、「職長教育」を受けた作業員であればその旨を、最後に「フォークリフト」など受講した特別教育を下部に追記していきます。


(16)技能講習 ・・・各都道府県の労働局に登録されている教育機関で技能講習を受けた場合は記入します。受講していない場合は未記入でOKです。


(17)免許 ・・・工事に関連する資格の情報を記入します。電気工や溶接工など、必須資格がある工種は必ず記入しなければなりません。


(18) 入場年月日・・・新規入場者教育を実施した際に記入します。記入時点で不明な場合が多いため、印刷後に手書きもしくは追記で対応できます。

(19)受入教育実施年月日 ・・・入場年月日と同じ日付を記入します。


(20) 退職金共済手帳の所有の有無 ・・・建退共手帳有の場合には「建」を、中退共済手帳所有の場合には「中」を、その他の手帳所有の場合には「他」を、所有していない場合には「無」を選択します。

最後に、作業員名簿を作成する際の注意点をご説明します。


① 証明書類の添付を必ず行うこと
作業員名簿を提出するときには、記載した資格・免許の写しを添付しなければなりません。運転免許証や作業に関する資格証の添付は必ず行いましょう。その都度コピーして提出すると非常に大変なため、事前に作業員の資格関係の写し書類はまとめてデータ化すると管理がしやすいでしょう。

② 作成時点で不明な項目は空欄にしておくこと
不明確な情報を登録してしまうと、その情報が間違っていた場合訂正が漏れてしまう可能性があります。作業員名簿は非常に重要な書類であるため、正しい情報をしっかり記入し、不明な点は一旦空欄にしておきましょう。正しい情報がわかり次第、後から手書きする、もしくは追記しましょう。

また、作業員の情報が更新される場合があります。新しい現場に入る際は、作業員名簿を作成する前に、各作業員に情報の更新などがないか通知して申告してもらうようにしましょう。

作業員名簿は、現場に入る作業員と現場を管理する元請会社にとって非常に重要な書類です。現場の作業員を管理するだけでなく、万が一、労災が起きてしまったとき非常に重要になります。建設業の現場に入る際は、書き方を正しく理解し、間違いのないよう作成しましょう。

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