労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続き
特別加入・社会保険
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従業員が業務上や通勤中の怪我や病気によって、治療費の支払いを負担し、働けなくなることにより収入が減ってしまうことがあります。また、万が一、そのことが原因で失業し、収入がゼロになってしまったら、生活ができなくなってしまいます。労働保険では、そういった業務上もしくは通勤中に怪我や病気をして、病院にかかったり、仕事をお休みする場合に補償を受けることができます。
特に、通常の業種よりも業務上の事故が起きる可能性が高い建設業に勤務する従業員にとっては、必要不可欠な保険です。
加入できる労働者には、正社員、派遣社員を問わず、パート、アルバイトも含まれます。
つまり、会社で働く全ての従業員が労働者にあたり、事業主は、1人でも従業員がいれば、必ず労働保険に加入しなければなりません。
ただし、労働保険に加入できる人の中に、会社の代表者や取締役、自営業の個人事業主とその家族などは含まれません。
※会社の取締役の場合でも、労働者として報酬を得ていることが認められれば、労働者とみなして労働保険に加入することができます。
■ 会社設立後に必要な労働保険の手続き
ここでいう労働保険とは、業務中や通勤中に従業員がケガをしたり病気になったりした場合に給付を行う「労災保険(労働者災害補償保険)」と、従業員に教育を施す場合あるいは当人の失業時などに給付が行われる「雇用保険」のことをいいます。
■ 労災保険の手続きとは、
会社設立後(又は個人事業を開始した後)、従業員を雇用したら、従業員を雇用した日(保険関係成立年月日)の翌日から10日以内に、以下の添付書類を持って、管轄の労働基準監督署にて「保険関係成立届」「概算保険料申告書」を記入した後、提出します。
<提出書類及び添付書類>
・「保険関係成立届」
・「概算保険料申告書」
・法人の場合は登記簿謄本の写し(3ヶ月以内に発行されたもの)
・個人の場合は事業形態が確認できる書類(営業許可証や賃貸借契約書など)
同時に、その年度分の労働保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得た額。)を概算保険料として申告・納付します。
■ 雇用保険の手続きとは、
労災保険に加入するのは役員以外の従業員すべてですが、雇用保険は次の条件に該当する従業員のみ加入義務があります。
<雇用保険の加入要件>
・31日以上の雇用見込みがある
・1週間の所定労働時間が20時間以上である
・学生でないこと
いずれにも当てはまれば、パートなど非正規雇用関係なく加入手続きが必要です。
会社設立後(又は個人事業を開始した後)、雇用保険の対象になる従業員を雇用したら、従業員を雇用した日(保険関係成立年月日)の翌日から10日以内に加入手続きが必要です。
労災保険加入手続きが完了すると、労働基準監督署より労働保険番号が記入された保険関係成立届と概算保険料申告書の控えが渡されますので、これらの書類と以下書類を、管轄のハローワークにて「雇用保険適用事業事務所設置届」「雇用保険被保険者取得届」を記入した後、提出して手続き完了です。
<提出書類及び添付書類>
・「雇用保険適用事業事務所設置届」
・「雇用保険被保険者取得届」
・保険関係成立届と概算保険料申告書の控え
・従業員名簿等
・法人の場合は登記簿謄本の写し(3ヶ月以内に発行されたもの)
・個人の場合は事業形態が確認できる書類(営業許可証や賃貸借契約書など)
建設業の場合、二元適用事業所となるため、その年度分の雇用保険料として別で計算して、概算保険料として申告・納付する必要があります(一元適用事業所の場合は労災保険料と一緒に申告・納付)。
その後、新たに雇用保険の対象になる労働者を雇用した時はその都度、雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出し、ハローワークから交付される雇用保険被保険者証を労働者に渡さなければいけません。また、雇用保険の被保険者が離職した時は、雇用保険被保険者資格喪失届・離職証明書をハローワークに提出します。
保険関係成立手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、その手続を行わず放置した場合は、行政庁の職権により成立手続及び労働保険料の認定決定がなされ、遡って労働保険料及び追徴金が徴収されます。
また、事業主が故意又は重大な過失により、労災保険に係る保険関係成立届を提出していないにも関わらず労働災害が起こってしまい、労災保険給付が行われた場合においては、遡って労働保険料及び追徴金が徴収されます。
さらに労災保険給付額の全部又は一部(加入手続について行政機関からの指導等を受けたにも関わらず、故意に手続を行わない場合には保険給付額の全額が、加入手続について行政機関からの指導等を受けていないものの、事業主が事業開始の日から1年を経過しているにも関わらず加入手続を行わない場合には、重大な過失により手続を行わないとみなされ保険給付額の40%が徴収されます)が徴収されます。
会社設立後は本業が忙しく、それ以外の労務手続きまで手が回らないことも考えられます。煩雑な手続きは専門家に依頼することも一つの手段です。
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