従業員の雇用 労働者名簿には何を記載すればいいの?
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従業員を雇用した際に、会社が必ず作成しなければならない「労働者名簿」、「出勤簿」、「賃金台帳」については、「従業員の雇用時に必要な書類とは(労働者名簿、出勤簿、賃金台帳)」という記事でご説明しました。
本記事では、「労働者名簿」について、詳しく説明をしていきます。
「労働者名簿」
労働者名簿とは、従業員の氏名、生年月日、住所、性別などを記載した名簿のことです。一人以上の従業員を雇用している会社では、労働者名簿を作成する義務が生じます。
① 対象者について
「労働者名簿」は正社員やフルタイム勤務の社員だけでなく、契約社員やパートタイマー、アルバイトなど、雇用関係のある従業員については全員分の作成が必要となります。なお業務委託については、雇用関係ではないため作成は不要です。また、役員についても同様に原則は作成不要となりますが、労働者としての性質も持った役員(兼務役員)の場合には、作成が必要です。
② 最低限記載しなければならない項目について
氏名・生年月日・性別・履歴・住所・従事する業務の種類・雇い入れ年月日
・退職(死亡を含む)した年月日とその事由
履歴へは、「異動や昇進など社内での履歴」を記載します。法令や行政解釈ではその記載範囲について明確には示されていませんが、主に「社内での履歴」を記載するものとし、必要に応じて、最終学歴、社外職歴なども記載するとよいでしょう。特に、建設業を営む会社では、従業員本人のこれまでの業務経歴や所有する資格の管理など、重要な情報を記載するようになります。
従事する業務の種類へは、社内での業務内容や役割を記載します。ただし、常時雇用している従業員数が30人未満の場合は記入不要です。
退職(死亡を含む)した年月日とその事由へは、退職日等を記載します。また、退職事由が解雇の場合、その理由を明記する必要があります。従業員が死亡した場合は、死亡年月日と同時に死亡の原因も記載が必要です。
③ 作成するタイミング、更新について
従業員が入社するタイミングで必ず作成しておく必要があります。また、住所や苗字など記載内容に変更が生じた場合には修正し、随時忘れないように更新しなければなりません。
④ 保存期間、保管方法
労働者名簿は、3年間保存することが義務づけられています。また、保存期間の起点は、労働者名簿の場合「従業員の退職や解雇、または死亡日から起算して3年」となっています。
※なお、保存期間は、2020年4月から施行された改正労働基準法によって、5年間に延長されました。ただし経過措置として、当分の間は「3年間」が適用されます
労働者名簿の保管方法については、労基法上では明確な定めがないため、紙でも電子データでも保存可能ですが、記載されている内容は個人情報に該当するため、「誰でも閲覧できる場所に保存しない」「施錠可能な書庫に格納する」「電子データで保存する場合はパスワード設定をする」など慎重に管理する必要があります。労働者名簿の様式には法律による定めはなく、必要事項が不足なく記載されていれば、どのような書式でも問題はありません。
また、労働者名簿に記載されている情報については、他の従業員や第三者に勝手に開示してはいけません。業務上の必要から、従業員の情報を開示する際には、本人の同意を得る必要があります。
労働者名簿は、会社設立後や開業後に従業員を初めて雇用し、雇用保険適用事業所設置届をハローワークへ提出する際にも添付が必要な書類となります。
また、建設業では、似たような書類で「作業員名簿」を元請事業所から提出するよう求められます。「作業員名簿」については、「作業員名簿には、何を記載すればいいのか?」の記事で詳しくご説明します。
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