「特別加入制度」とは?どうすれば加入できるの?
特別加入・社会保険
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労災保険は通常、会社が雇用関係にある従業員に対して、業務上の事故などの災害に遭ったときの補償として加入しています。しかし、事業主や同居している家族は労災保険に加入することができません。しかし、事業主や同居している家族であっても業務中や通勤途中に事故にあったり怪我したりする可能性はあります。そういった労災の対象外となる方々の仕事中や通勤途中の怪我や病気をカバーするためにできた制度が、「労災保険の特別加入制度」です。
以下では、特別加入の要件を確認していきます。
特別加入ができる中小企業の事業主の範囲
業種ごとに常時使用する労働者数で決まります。
金融・保険・不動産・小売業の業種 ・・・50人以下
卸売業・サービス業等の業種 ・・・100人以下
その他の業種(製造・建設・運送業など) ・・・300人以下
特別加入できる対象者
以下の通りで、労働保険事務組合へ労働保険事務の委託が必須です。
・労働保険事務組合に労働保険事務の委託をする個人事業主
・上記、事業主が行う事業に従事する同居の家族
・労働保険事務組合に労働保険事務の委託をする法人代表者
・上記、法人の取締役で業務執行権がある者
ただし、役員や家族従事者について、事業に従事している者は全員加入が必要です。希望者のみの加入は認められません。例外として、就業の実態のない事業主や役員、家族従事者については「理由書」を提出することによって加入しなくてもいいという特例があります。「病気療養中」や「高齢」、「役員業務のみ行うため労働者として働かない」等の理由であれば認められます。
特別加入時の健康診断
特別加入する際、一部の事業に従事する人については健康診断が必要です。
健康診断が必要な一部事業は以下の通りです。
・粉じん作業に通算して3年以上従事した者(金属の溶断、溶接、はつり、石材加工、金属研磨など)
・身体に振動を与える業務に通算して1年以上従事した者(解体、道路カッター作業等)
・鉛業務に通算して6カ月以上従事した者(鉛の精錬等を行う工程における溶鉱等)
・有機溶剤業務に通算して6カ月以上従事した者(建設塗装、塗装業、防水工事、印刷、接着等)
特別加入の保険料
保険料は事業主等が選択した日額に、労災保険料率をかけて計算します。
日額は3,500円~25,000円の間で選択します。途中で変更することも可能ですが、年度(4月~翌3月)で区切られるため、年度が始まる3月下旬ごろ、又は年度更新の期間中(6月~7月10日)までしか変更ができません。
例)建築事業(第1種特別加入保険料率)で日額10,000円にした場合、1年間の保険料は以下のような計算になります。
10,000×365×0.0095=34,675円
建設業で現場作業を行う場合、原則元請工事の労災保険を使用するので、下請会社などでは現場労災保険に加入していない会社はたくさんあります。しかし、労災保険の特別加入する場合、元請ではない下請会社でも現場労災保険に加入した上で、事業主も特別加入できます。
事業主が現場で怪我をした場合、特別加入をしていなかった場合、下請工事であっても労災保険からは一切補償はありません。万が一の怪我や業務上の事故でも焦らないよう、特別加入をしておけば安心です。
特別加入をしたいが、どうすればいいか分からない…等あれば、ぜひ当グループへご連絡ください。