【一人親方は法人化(会社設立)すべき?】メリット編
建設業許可
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個人事業主である一人親方が会社設立すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
会社設立した場合のメリットについて、代表的なものを5つ紹介していきます。
- 一定の所得があると税負担が軽くなる
- 経費にできる範囲が広がる
- 社会的信用が増す
- 賠償の責任範囲が有限となる
- 決算日を自由に決められる
1.一定の所得があると税負担が軽くなる
法人化のメリットとしてまず挙げられるのは、税金の負担が軽くなることです。
ただしこのメリットがあるのは、課税所得が800万円を超えるくらいの場合に限られます。
個人の所得税率は所得が高くなるほど上がっていくシステムです。
しかし中小法人の法人税率は、15%と23.2%の2種類しかありません。
所得が一定額を超えると、個人事業主よりも法人のほうが税負担が軽くなります。
一人親方として法人化した場合に必要となる支出も考慮する必要はありますが、所得が高い個人事業主は、法人化をすることで節税が可能となるのです。
2.経費にできる範囲が広がる
法人化をすると経費にできるものの範囲が広がります。
経費化できるもののひとつが、事業主の給料です。
個人事業主がもらう収入は、経費に計上できません。
しかし法人化後は、法人税法のルールに従って給与額を設定すれば、事業主がもらう給料は役員報酬として経費になります。
また一定の要件を満たした場合には、事業主がもらう賞与も役員賞与として経費にできるのです。
事業主がもらう給料は毎月発生し、額も大きいため、節税効果が高い経費です。
法人として経費化できるものには、他にも退職金や法人保険などがあります。
また、赤字を繰り越せる年数が個人事業主より長く設定されています。
自宅を社宅化して経費計上する事もあります。
こうして経費の範囲を広げて節税につなげられることも、法人化のメリットです。
3.社会的信用が増す
法人化をすると、対外的な信用が増します。
信用が増せば、大規模な仕事が受注できたり、多額の事業資金を借り入れたりできるのがメリットです。
法人に信用力がある理由のひとつとして、法人は事業の実態が客観的に確認しやすいことが挙げられます。
法人は、定款・資本金・役員などの事項が厳格に確認されたうえで、国の登記簿に公的に登記されているためです。
もちろん個人事業主である一人親方でも、堅実な経営をしている方は数多くいます。
しかし、一般的に法人に比べて信用度が劣ることは否めません。
企業にもよりますが、取引相手を法人に限定しているところもあります。
仕事を獲得するうえでも、法人化するのは有効でしょう。
4.賠償の責任範囲が有限となる
法人化すると、損害賠償責任の範囲が有限になります。
賠償責任に限りがあることも、法人化によるメリットのひとつです。
一人親方でも、事業をしていると思わぬ債務を負うリスクがあります。
何らかの原因により仕入れなどの代金が払えなくなったり、業務上のミスで損害賠償を請求されたりすることがあるためです。
債務が発生した場合、個人事業主は無制限に返済や賠償をしなければいけません。
手持ちの現金が足りなければ、自分の財産を手離してでも支払いをすることになります。
しかし、法人の社長の責任は有限です。
債務を負ったのは法人自体であり、法人と社長とは別個の存在として扱われます。
たとえ会社が多額の負債を出して倒産した場合でも、社長の責任はその出資金額に限定され、自分自身の財産で賠償する必要はありません。
ただし、会社の負債について社長個人が連帯保証をした場合は、連体保証人としての責任を免れることはできないので、注意が必要です。
5.決算日を自由に決められる
決算日を自由に決められることも、法人化のメリットです。
法人税の申告は決算日から2か月以内に行いますが、この2か月間は通常業務と決算業務が重なり、とても忙しくなります。
しかし、決算日を工夫することで、会社の繁忙期と決算時期をずらせます。
会社がそれほど忙しくない時期なら、時間的な余裕をもって決算業務を行えるでしょう。
決算業務に集中できれば、業務上のミスを防ぐことができたり、来期の経営方針や節税について考えたりすることも可能です。
一方、個人事業主の確定申告時期は、毎年2月半ば~3月半ばと決まっています。
たとえ事業の繁忙期と重なっても、時期をずらして確定申告をすることはできません。