建設業界の2024年
建設業許可
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建設業2024年の振り返り
2024年度も残すところわずかとなりました。
本記事では2024年度の建設業界の現状を振り返ります。
大きな改革が続いていますが、主なニュースを振り返る事で、来年も更なる飛躍の年にしましょう。
1 建設業2024年問題「働き方改革」について
2024年4月、遂に建設業でも働き方改革がスタートしました。
これにより「時間外労働の上限規制」や「年5日の有給休暇取得が必須」になるなど、労働環境改善の動きが強まることが期待されています。
「時間外労働の上限規制」とは
残業の上限が「月45時間・年360時間」に定められました。
やむを得ない事情がある場合は、特別条項を締結し労働基準監督署に届け出ることで、「年720時間まで・単月100時間未満・45時間を超えられるのは1年間で6ヶ月まで」の条件で残業が可能となります。
時間外労働対策として、現場の施工管理や契約書にITを活用して作業の効率化を図る建設業者が増えています。
2 倒産件数の増加
帝国データバンクが発表した建設業に関する倒産動向調査によると、2023年の倒産件数は1,671件(前年比38.8%増)でした。2000年以降、30%を超える増加率は初めてで、高い水準だったといえます。
背景には後述する資材価格の高騰や人件費の高騰が挙げられ、発注者への価格転嫁はしづらい為に利益を圧迫して倒産に繋がっています。
3 資材高騰
コロナ禍以降、ウクライナ情勢によるエネルギー価格の上昇や円安進行の影響を受け、2024年に入っても資材のコストアップが続いています。
鋼材、コンクリート、セメントなどは前年より10%以上の高止まりとなり、請負工事代金の高騰が顕著になっています。
建築費の高騰に伴い、国内主要都市の公共・商業施設の建て替えが延期または中止となる事例も増加しています。
4 職人の人手不足
多くの現場で経験と技術を持つ熟練工が定年を迎え、後継者が不足しています。
この現象は、若年層の建設業への就労意欲の減少、職業訓練の不足、若者にとっての建設業の魅力の低下など社会的な要因にも深く関連しており、高齢化による労働力の減少はプロジェクトの遅延や建設コストの増加を招いています。
建設業の労働環境を改善するため、2024年3月に政府は建設業界に対して「5%を上回る賃上げ」の協力を求めました。あくまでも協力要請ではありますが、これにより業界全体として賃上げが進み、少しでも人手不足が解消することが期待されます。
今後の課題
建設業界では特に若い世代の人材確保が最重要であり、そのためには労働者が働きやすい環境を作ることが重要です。
近年では、適切な賃金水準の確保や安定的な仕事量の確保、週休2日モデル工事の拡大など、様々な施策が行われています。
また、社会保険未加入業者を無くすための法改正や、女性活躍の推進や教育訓練の充実など、抜本的な改善に向けた取り組みを推進しています。
このように技術職員の処遇の向上や、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保を行うことが重要だといえるでしょう。