<会社設立時に必要な労務対応>従業員が入社する際の手続きは?

特別加入・社会保険


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従業員が入社時に必要な手続きは、雇用保険や所得税、住民税の手続きなど種類が多く、しかも決められた期日までに申請しなければなりません。本記事では、会社が用意するもの、従業員に準備してもらうものなどを説明します。

<会社が用意、手続きする主な書類>

① 雇用契約書、労働条件通知書
② 入社時誓約書
③ 扶養控除等申告書
④ 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
⑤ 健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
⑥ 雇用保険被保険者資格取得届
⑦ 住民税に関する手続き

① 雇用契約書、労働条件通知書

雇用契約書や労働条件通知書とは、会社と従業員間の労働条件の取り決めを記載した書類です。雇用契約書は双方の署名、または記名押印が必要です。発行しなくても罰則はないですが、認識相違によるトラブルを防止するためにも取り交わしすることをお勧めしています。

労働条件通知書は労働基準法で交付が義務化されており、会社側の記名押印(または署名)が必要です。雇用契約書と労働条件通知書の2つをまとめて「労働条件通知書兼雇用契約書」として発行する場合もあります。

② 入社時誓約書

入社誓約書は会社の就業規則や服務規律、秘密保持に関することを記載した書類です。作成は義務ではないですが、入社後の認識の行き違いやトラブルを未然に防ぐためにも従業員の同意の元、署名捺印をもらっておくことをお勧めしています。

③ 扶養控除等申告書

扶養控除等申告書は、税金関係に必要な書類で、扶養者の有無にかかわらず提出が必要です。扶養控除とは、扶養親族がいる場合に年末調整で一定の控除を受けられる制度です。住所や世帯主、扶養者等の情報を記載してもらいます。

④ 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

新たに健康保険および厚生年金保険に加入すべき従業員の場合に作成が必要な届書です。健康保険・厚生年金保険の資格取得届は入社日から5日以内に会社の管轄年金事務所等へ提出します。被保険者となる従業員の氏名、フリガナ、生年月日、マイナンバーや資格取得年月日など、記載しなければならない項目があるため、従業員からそういった必要情報を確認する必要があります。

⑤ 健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)

社会保険加入手続きの際で、扶養者がいる場合に提出が必要な書類です。扶養者の氏名、フリガナ、生年月日、マイナンバー、職業、年収など必要な情報を確認する必要があります。

⑥ 雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険の加入要件を満たした従業員の場合に作成が必要な届書です。従業員が入社した翌月10日までに会社の管轄ハローワークへ提出します。加入要件(31日間以上の雇用契約、週20時間以上の労働時間、学生でないこと)を満たす場合、雇用形態(パート・アルバイト含む)に関係なく、雇用保険の加入が必要です。

⑦ 住民税に関する手続き

住民税は前年の所得に対して課税され、対象者が現在、普通徴収か特別徴収かで手続き方法が変わります。
普通徴収とは、従業員が個人で支払い手続きを行い、納税する方法です。個人事業主やフリーランスはこの普通徴収になります。特別徴収とは会社が従業員の代わりに、毎月の給与から住民税を天引きし、納税する方法です。

従業員が普通徴収をしていて、特別徴収に切り替える場合は、会社が未使用の住民税の納付書もしくは納付済みの領収書と「特別徴収への切替申請書」を居住地の各市区町村へ提出します。市区町村によって期日が異なり、普通徴収の納付期限が過ぎている分は切り替えができません。

従業員が前職で特別徴収していて、入社後も継続して特別徴収とする場合は、「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を使用者が居住地の各市区町村へ提出します。こちらも市区町村によって期日が異なるので、注意が必要です。
なお、前年に所得が無い場合はその年の5月末まで住民税はかかりません。

<従業員に提出してもらう主なもの>

① 雇用保険被保険者証番号
② 基礎年金番号
③ マイナンバー
④ 給与振込先の口座情報
⑤ 源泉徴収票(前職がある場合)

① 雇用保険被保険者証番号

雇用保険被保険者証番号とは、「4桁-6桁-1桁」で構成される11桁の番号です。過去に雇用保険加入履歴がある従業員には提出を求めてください。
基本的に雇用保険被保険者証は勤めている会社が保管し、従業員が退職する際に返却します。従業員から紛失の申し出があった場合は、会社がハローワークへ雇用保険被保険者証番号の確認依頼を行い、前職の会社名からハローワークで照会をしてもらいます。
また従業員本人(被保険者)からも「雇用保険被保険者証再交付申請書」により申請することで、被保険者証の再交付が受けられます。

② 基礎年金番号

基礎年金番号とは、社会保険の手続きに必要な「4桁-6桁」で構成される10桁の番号で、基礎年金番号通知書等から確認できます。以前まで交付されていた年金手帳は2022年4月から年金手帳の交付が廃止されました。それ以降の交付、再発行には基礎年金番号通知書が発行されます。

③ マイナンバー

マイナンバーとは、日本に住民票があるすべての人に1人1つ固有の番号を付与して、行政の効率化や国民の利便性を高める制度です。税金や保険関係の手続きのために利用されます。マイナンバーは、個人番号カードや個人番号通知カード、住民票から確認できます。社会保険や雇用保険の資格取得手続きを行う際は必ず必要なため、入社時に確認をするようにしましょう。

④ 給与振込先の口座情報

会社側で任意に用意した書式に、従業員本人名義の銀行名や口座番号などの情報を記入してもらい、給与振込先の口座情報を取得します。

⑤ 源泉徴収票

源泉徴収票は、1年間の自分の収入や所得税などが記載された大切な書類です。年の途中で退職した場合、退職前までのその年の収入や所得税を記載した源泉徴収票を会社が発行してくれます。年末調整時に必要なため、前職の退職年と入社年が同じ場合、従業員に提出してもらうようにしましょう。

入社手続きに必要な手続き、書類は多岐に渡っているため、整理して漏れがないよう注意しましょう。入社時の手続きを誤ってしまったり、遅延してしまうことで、健康保険の保険証が届かないなど従業員へも迷惑をかけてしまいます。会社への不信感へもつながりかねません。自社で手続きが難しい場合は、専門家へ依頼することも一つの手段です。

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