現場で作業中に労災が発生した場合、どうすればいい?

特別加入・社会保険


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労災保険は通常、会社が雇用関係にある従業員に対して、業務上の事故などの災害に遭ったときの補償として加入しています。しかし、建設業の場合、一般的な事業と比較して業務形態などが特殊で、元請や下請、孫請といった様々な会社からきた従業員が一緒に同じ現場で働きます。そのため、通常の労災保険とは異なるルールが適用されているのです。


では、万が一、現場で労災事故が起こったとき、どうすればいいのでしょうか?本記事では、建設業における労災保険の特殊なルールについて説明します。

原則、建設業の労災保険加入は元請会社ですべて行う

建設業の労災保険は一般の労災保険と異なっており、建設工事ごとでの加入です。加入するのも直接の雇用している会社ではなく、建設工事の元請会社が労災保険加入の手続きや保険料の支払いを行います。各工事を請け負う下請会社や孫請会社の従業員すべてを含み、元請会社がまとめて加入するのです。これは、労働基準法第87条によって、建設業の場合は「元請負人のみを使用者」としているからです。

現場で業務災害が発生した場合、元請会社が加入している各現場の労災保険を使用する

現場で発生した災害に対しては、その工事の元請会社が自社の従業員だけでなく、下請、孫請会社の従業員も自社の従業員とみなして労災請求することになります。つまり、現場で発生した労災事故の請求書には、元請会社が加入している労災保険番号を記載して提出することになるのです。  
そのため、下請や孫請会社の従業員が災害に遭ったときの休業補償請求書などを作成する場合、被災した従業員と下請会社、元請会社で、事故の内容を確認した上で提出します。

※ただし、労災が発生した時に提出する「死傷病報告書」だけは直接雇用する下請又は孫請会社が労働基準監督署へ提出します。

下請や孫請会社の社長や役員の場合、元請会社の労災保険は使用できない

労災保険の加入は原則として建設工事の元請け会社がすべて行いますが、下請や孫請会社の社長や役員、「一人親方」と呼ばれる事業主自身は労働者とみなされず、元請会社の労災保険は対象外となります。仮に、「現場作業をしていて他の労働者と同じである」と主張したとしても、下請や孫請の社長は労災保険の補償が受けられません。

そのため、下請、孫請の事業主・一人親方向けの労災保険特別加入制度により、特別に労災保険への加入を認めています。現場作業に社長や役員、「一人親方」と呼ばれる事業主自身が従事するのなら、必ず「労災の特別加入」をして下さい。

特別加入制度については、「特別加入制度ってなに?なぜ加入が必要なの?」の記事でご説明いたします。

危険な作業もある建設業において、労災保険はとても大切な制度です。正しい知識を持って、安心、安全に作業を行える環境を整えましょう。労災保険に関する知識などについて、不安な点があれば専門家に相談することも大切です。

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